2021 南山学園概要

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- 国際教育の深化と 情報化社会への対応
1983- 1995
真の国際人の養成へ
1983年、 急逝したヒルシュ マ イ ヤー学長のあとを受けて、 ロバー ト・リーマー外国語学部教授 (神言会員) が南山大学第4代の 学長に就任する。 リーマー学長は、 このあと1993年までの10年 間にわたって在任する。 リーマー学長の時代は、 大学の創立以 来の伝統が守られるとともに、 特に、 国際性を深める教育・研 究や情報化社会に対応する教育 ・ 研究が著しく発展を遂げた 時期であった。 1984年、 ボルト理事長のあとを受けて、 ペドロ・シモン外国 語学部教授 (神言会員) が南山学園理事長、 長崎南山学園理 事長に就任する。 ボルト神父は21年間理事長職にあり、 このあ とも1990年の急逝に至るまで、 学園長、 名誉学園長の任にある など、 その生涯を通じて学園に多大の貢献をした。 同じく1984年、 大学文学部神学科と文学研究科神学専攻博 士課程が 「在名古屋南山大学教皇庁認可神学部」 とし てローマ 教皇庁より認可され、 カトリック大学としての宗教教育の将来 に多大の期待が寄せられるようになった。 1985年には、 大学にお ける従来の視聴覚関係組織と設備が視聴覚教育センターとし て統合され、 新しい組織とし ては、 大学の内外の共同研究促進 を目的とした経営研究センターが発足した。 1986年には国際的 な高度情報化時代に対応する新しい学科として、 経営学部情 報管理学科が設置された。 また、 国際化プロジェク トの一環と して、 豪日交流基金からの援助を受けて設立準備中であった オー ス トラリア研究センターが、 社会科学の見地からの統合的な 地域研究をめざし て1986年に発足し た。 南山短期大学は、 1988年に創立20周年を迎え、 この年を記 念して外国語研究センターを設置した。 このセンターは、 「 語学 力および国際感覚の養成」 という英語科の教育理念を社会的に 実現することを目的とするもので、 人間関係研究センターととも に南山短大の研究活動の2本の柱となるものであった。 また、 こ の年、 短期大学では、 シモン学長の後を継ぎ、 宮本桂教授 (神 言会員) が第5代短期大学長に就任した。 同じく1988年、 大学では、 日本語 ・ 日本文化の研究を志す人々 を対象として、 新しい国際人、 日本語教育の専門家の養成をめ ざす外国語学部日本語学科が設置された。 1991年には神言会 の基金援助により、 大学にヨーロッパ研究センターが設置され た。 このセンターは、 広 く学際的視野に立ち、 主として現代ヨー ロッパの政治 ・ 経済 ・ 社会に関する研究を行い、 成果を大学の内
外に役立てることを目的とし ている。 1992年には大学院外国語 学研究科修士課程 (英語教育専攻、 日本語教育専攻) が設置さ れた。 外国語学では中部地方最初の大学院であり、 国内におけ る英語教育のみならず、 海外における日本語教育の発展にも寄 与できる人材の育成を目的にし ている。 1993年4月、 任期を満了したリーマー学長の後任として、 第5 代南山大学長にハンス ユーゲン ・ マルクス文学部教授 (神言 会員) が就任した。 マルクス学長の時代は、 後述 「法人合併に よる新たな出発」 にもあるように、 新学部設置、 既設学部学科 および研究科の改組といった大規模な将来構想を計画し実現 した 「改革」 の時期であった。 この年、 短期大学においても、 1991年以来理事長職との兼任 であったシモン学長の後任として、 大橋嘉男教授 (神言会員) が第7代短期大学長に就任した。 1993年は南山短期大学の創 立25周年であり、 アメリカの留学提携校4大学の学長記念講演 をふくむ記念式典および記念行事が、 全学の教職員、 学生の 協力のもとに行われた。 さらに、 この年には豊田市亀首町の地に、 南山国際高等学校 ・ 中学校 (長坂源一郎初代校長) が設立された。 この学校は、 南 山高等学校 ・ 中学校の国際部 (1981年、 1982年に設置) が、 公私 各方面の多大の援助を得て、 発展的なかたちで独立したもので ある。 この学校は、 帰国子女と外国人子女だけを受け入れる全 国でもほとんど類のない学校であり、 生徒の随時受け入れと、 入学に際し て学力のみによる選抜を行わないことを基本方針と し ている。 南山国際高等 ・ 中学校の設立当時、 帰国子女を受け入 れる国公私立中学 ・ 高校は極めて少数であり、 この学校の設立 は、 我が国の国際的発展にともなう 「帰国子女教育」 という新し い社会的課題に応え、 南山独自の国際教育の伝統を継承するも のであった。 しかしながら設立から約25年が経った現在、 我が国における 帰国子女教育の環境は大きく変化した。 多くの学校とりわけ公 立校でも帰国子女を受け入れる体制が拡大し、 海外からの帰国 児童 ・ 生徒は 「特別な存在」 ではなくなり、 その位置づけも特別 なものとして位置づけられなくなっている。 したがって、 南山学 園における 「特別な存在」 とし ての帰国生徒教育は、 これまでに 南山国際高等 ・ 中学校が取り組んできた社会貢献により十二分 に使命を果たし、 その役割を終え ていると考え、 2018年度から中 学1年生を募集停止とした。 これにより、 2022年度末に高校にお いて最後の卒業生を送り出した後に閉校とする予定である。 南 山の国際教育の伝統は時代に合わせて変化し、 さらに次のス テップへと続いていく のである。
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