学園概要 建学の精神・教育モットー・教育理念

南山学園は国内でも数少ないカトリック・ミッションスクールの総合学園です。

その特色は建学の精神、教育モットー、教育理念にあらわれています。

建学の精神と教育モットー

南山学園がその基礎におくキリスト教世界観の要は、「一人ひとりの人間がまさに一個人としてかけがえのない存在であり、侵すべからざる尊厳をもつ」という考えです。

したがって、キリスト教世界観に基づく教育の目標は、「一人ひとりがまず自分の尊厳に気づき、その徹底を図る一方、他者の尊厳を認め、共に、人間の尊厳が尊重され推進される社会づくりに役立とう、という生き方を培うこと」です。

この建学の理念を端的に表現するために、南山学園の各学校はラテン語でHominis Dignitati、すなわち「人間の尊厳のために」という統一の教育モットーを掲げています。

このモットーは学園創立20周年を機に制定され、当時南山大学教授であったドイツ人宣教師、アルベルト・ボルト師(第7代南山学園理事長)により、自身の経験と第2次世界大戦の痛みの中から、南山教育が掲げる最も大切な理念として生まれ、今日まで脈々と受け継いでいます。

学園講堂玄関に掲げられている教育モットー

4つの教育理念

宗教性の涵養

南山学園では、宗教性の涵養について二つの課題を区別しています。一つは、キリスト教、イスラム教、仏教などを問わず、「生かされている」ことへの感謝、という基本的な宗教心を育むことです。

教育の現場でこの感受性を育むことは大切なことです。なぜなら、自分が生かされていることに感謝ができる人は、自分と同じように生かされている他者を思いやることができるからです。

こうした基本的な宗教心の涵養に加えて、世界の主だった宗教についての基本的な知識を教えることがもう一つの課題です。この知識を身につけた人は、将来世界のどこへ行こうとも、その地域に住む人々の考え方、価値判断や生活習慣などの根幹をなすものを正しく評価し、相互理解に貢献できるようになります。グローバル化が急速に進む中では、異なる宗教をもつ人々との出会いも増えるに違いありません。こうした接触が誤解、摩擦、衝突につながらないように、相互理解に貢献できる人を育んでいます。

創立者ヨゼフ・ライネルス師

知的理解と厳しい知的訓練

技術的習熟よりも知的理解を基本とし、更に、その能力を養うため厳しい知的訓練を行います。学校教育における教科や授業科目の多くは、それ自体が知識であるより、むしろ経験や知識に対して将来の知的理解を可能にする力を養うことが目的です。厳密で正確な思考や明晰で偏らぬ判断をする能力は、厳しい知的訓練を経て初めて身につきます。

南山学園の厳しい知的訓練は、明晰な知的理解の前提であり、自由で創造的な思索の基盤をつくるために行われています。

地域社会への貢献

創立以来、南山学園は深く地域社会に根ざしています。1932年に南山中学校が設立されたのは、カトリック名古屋教区の初代教区長ヨゼフ・ライネルス師が地域の発展のため確かな学力と豊かな人間力を兼ね備えた人材の育成が教会に課された使命だ、と確信していたからです。

また、終戦間もない1946年、外国語専門学校が設立されたのは、海外との貿易を中心に戦後の発展を図るべき中部地域に、国際舞台で活躍できる人材輩出の使命が南山学園にある、とライネルス師の後を継いだアロイジオ・パッヘ師と仲間が強く感じていたからです。こうした志は自然に南山大学の創立につながりました。1960年代以降、南山大学では世界中から多くの留学生を受け入れ、地域の国際化にも貢献してきました。

国際性の涵養

世界中に広がるカトリック教会を背景にもつ南山学園にとって、国際性の涵養は重要なミッションであり、創立以来、外国語教育に特別な努力が注がれているのも、そのためです。留学や海外経験のある教員が多いこと、外国人教員の在籍比率の高さは南山学園の著しい特色です。大学における学問的国際交流や海外留学制度の充実、小学校における英語教育・国際教育も南山学園の国際的活動の拡がりを示すものです。南山学園における国際性の涵養がめざすところは、将来世界の何処の地に行き、どのような人と交わるにしても、一人ひとりに備わった尊厳を認め、偏見の無い精神で相互の理解を図り、友情の輪を広げることができるような国際人を育成することです。このことが人間の尊厳を尊重、かつ推進する人材の育成にもつながります。