南山学園案内誌 2024
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Hirschmer JohannesMESSAGE. 1 設立の当初から現在に至るまで、その小さな規模からは考えられないほどの広範に亘る国際的な連繋を有していることは、南山大学の特色の一つとして誇るべきものである。その教授陣には常に多数の外国人学者・研究者を擁し、また長年に亘って若い日本人の教員を学位取得あるいは研究のために、海外留学させるように努力してきた。この課程で南山大学は学問的レベルにおいても、日常的レベルにおいても、東と西の対話が重要な役割を果している場として名声を博してきた。 南山の創設者達が海外から日本に到来した時に抱いていたのと全く同じ普遍的な精神で、日本で伝統的に強くみられる偏狭なナショナリズムを超越して、国際性を志向する教育計画を現在も推進し続けているのである。それぞれの文化にはそれぞれの制約があり、したがって全地球的な共通善を追求するために他の文化と協力しなければならない、という意識をこの国際的視野は芽生えさせてくれるし、また国際的な十字路を創り出し、ここを通過するすべての人が異なった文化背景をもつ人の目を通して、自らの文化遺産のもつ深み、美しさを再認識させてくれるのである。 若い教員を可能な限り海外の大学へ、少なくとも1年間は留学させたいという方針、外国語、外国文学に関する科目の重視、学生が外国の大学で1年間勉学の機会が得られる海外留学制度、外国の学者が南山の招請により、本学で1年間教育・研究に従事するという招聘教授制度、日本研究センターで開講される科目の受講のために、海外からの留学生を受け入れる制度等々は、南山大学が志向する異文化交流計画の中で重要な役割を担うものである。 南山大学は、キリスト教精神、卓越した学問的水準、地域社会との協力、国際的視野-この四つの特徴の一つ一つを通して、人間の尊厳のために奉じるという誓約に応えようとしているのである。われわれが、成功か不成功かを問わず、この事業を遂行する際に常に銘記していたいと思うことは、われわれが自分自身に属する身ではないということである。われわれは自分達が真に属するものによって、短期間この世にいわば貸し付けられている身である。互いに力を合わせ、愛の精神で、われわれはその信託に応えることができるのである。(1979年)ヨハネス・ヒルシュマイヤー第3代南山大学長国際的視野– 22 –

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