2022_Hominis_Dignitati
24/40

Aloysius PacheMESSAGE. 1 南山大学は、日本私立大学連盟に加盟し、我が国の教育機関の間に、確固たる地位を占め、他の諸大学に伍して、高等教育の共通使命達成に、参与するものである。本学が、本学独自の特色を有することは、他の先輩諸大学と同様であるが、このことは内外に於て、次第に認められつつあるのである。この特色を要約すれば、次の三点となる。 一、カトリック教をして、教育原理、教育施策の基盤たらしめ知的・情操的・並びに道徳的に円満な人格をめざし、これを以て、人間を、その達し得べき最高の尊厳へと導く資とするのである。これこそは南山の有する究極の目的であり、“Hominis Dignitati”(人間の尊厳のために)なるモットーに、遺憾なく表明されているのである。 二、特に南山の教育目標は、次の如き特性を具えた青年子女を育成することに向けられている。(イ)広い教養。かかる教養を修得するために、近代的方法に依る外国語の研鑽に重きが置かれている。(ロ)高い理想に燃える人格。かかる人格は、人生の宗教的把握を通じて到達されるものであるが、その宗教的把握なるものは、理想達成の手段として奨励され、明確に、しかも何等強制されることなく指導せられるものである。(ハ)強い責任感。個人並びに社会的存在として、一般的、特殊的諸業務に対する強い責任感を養成するために、学生の自己淘汰には特に意を用いて計画がなされ、これを補うために良心的指導組織が存在する。 三、当地方諸大学のうちにあって、南山大学はその特異なる特徴として、国家の諸問題を国際的基準にたって処理し得る様な、国際的精神を持った学生をつくり上げるのを目的としている。従ってこの目的達成のために、本学は次の手段を学生の手に託している。(イ)諸外国よりの強力な学者陣、並びに国外に於て学業を研鑽した有能な日本人教授陣。(ロ)国際的範囲に渉る書籍、雑誌を擁する図書館。(ハ)最も将来性ある卒業生たちの為の国外留学生制度。(現在15名が外国の諸大学に、留学中である。) 新制大学として、南山大学は新学制が真摯に遂行せられた場合、その究極的成功を信ずるものである。新学制は、現在、本学当局者の最も重要な関心事であって、学究運営両面にわたる討論を通じ真に民主的な方針に従って、教科の教育方法、教授、生徒間の関係等の改善に、大いに努力しつつある。 創立後日猶浅きことのために、不可避的に生ずる諸欠点に或程度悩みつつも、南山大学は、高等教育の分野に於ける重要な因子としての健全な発展を国の内外を問わず確信を以て予測せられるまでに生長して来ているのである。 (1953年)アロイジオ・パッヘ初代南山大学長南山大学の特色– 22 –

元のページ  ../index.html#24

このブックを見る