2022_Hominis_Dignitati
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理想は高くヨゼフ・ライネルス南山学園創立者Joseph Reiners“高く昇るために努力しよう たとえ、目的に達せられなくても、 目的なく、価値ない人生をただようより、 それは、はるかによいことなのだ!” 若者は誰でもみな、自分の理想を追い求めています。もし理想がなければ、結局自分もつまらない人生をおくる人達-この人達は国家と国民に意義ある奉仕をすることができず、そのために自分も無価値の存在となり人生を目的なしにおくってしまうだけ-の仲間となり、やがてその中に埋もれてしまうだろうと、彼は感じて知っているのです。 彼の理想はキッと高く-大空の星座にまでのぼるにちがいありません。彼の若い心の中には次のような確信があるのですー。 若者は、人生の使命-忠誠と親への愛、正義と公正、純真と正直、勤勉と精励、謙遜と清潔-へ向う準備として努力する時に、自分の持つ理想が自分自身を推しすすめてくれることを期待しています。人間はもともと、自分自身が善良な人になり、他人に対しては善を行なうように生まれついているのですから。 さて生徒諸君。この崇高な理想を求め、実現しようとするために、私から諸君に申し上げたい忠告があります。それは「君の模範としたい偉人を一人えらびなさい」ということです。君の理想からみて、これこそやり甲斐のある目標であると思えるあらゆる徳目を一身に備えている偉人を模範としてさがし求めなさい。真の理想の神聖な場所は高い山頂にありますから、それがみつかったら、すぐにのぼりはじめなさい。時間をムダにすることはできません。明日からはじめようなどといっておれば、自分に与えられたチャンスを失ってしまいます。君は一人の誠実な国民になりたいと思いますか。それならまず御両親にとって、よい子供におなりなさい。力づよい人間になりたいと思いますか。それならまず学校のよい生徒におなりなさい。「子供は、大人の父である」(三つ子の魂、百までも)。 各国家は皆指導者を求めています。知識階級にとって、指導者を養成することは、聖なる義務です。人は指導者に成長しなければなりません。若者は目標に向ってスタートをきることができる特権を与えられているのです。それでは諸君! 完全なスタートをきろう。 前進しよう、君を山頂に導いてくれる君のえらんだ偉人のあとを追って-目的地の山頂には、君を最後の勝利に導く君の理想が、壮厳な栄光につつまれて立っているのです。 (1934年)– 17 –

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